浅田真央、宇野昌磨に見る山田満知子の功罪

バンクーバーオリンピックでの浅田真央を、手枕で寝っ転がって酒飲みながら野球みてるオッサンのような気分(つまりテキトー)でみていた私は、彼女が銀メダルで終わった後、俗に言う「マオタ」の皆さんがネット上で韓国の陰謀だ!!とかオーサー許すまじ!とかロシアもこの陰謀に加担してる!!とか、いろ~んなことをいってるのを、「へぇ~そうなんだぁ~」なんてゆる~く真に受けてました。今からすると随分と、ネットというモンに対してピュアだったと思います。

それから。
シニアデビューしたてのゆづ君のロミジュリに脳天ぶち抜かれてから、フィギュアを見る姿勢が一変。

GOEとは、PCSとはなんぞや?からはじまって、基礎点の表を印刷してみたり、プロトコルの見方を調べてみたり。ジャンプの種類やエッジの向き、回転についても注意深くみるようになりました。

そうして見るようになるにつれ……
浅田真央のジャンプ技術は現行の採点システムでは点数のでにくいものなのだな、ということがわかってきました。別に陰謀でも意地悪でもなんでもなく、ただ彼女が点数をもらえるジャンプをとんでなかっただけなのだと。

以前何かのインタビューで、山田満知子(浅田真央の元コーチ)という人は、「世界で戦える選手を一人育てるより、裾野を広げる方をやりたかった」というようなことをいってました。
つまり、スケートを滑りにきたちびっ子達に、スケート楽しいんだよ~やってみない~という最初の動機付けの部分をやりたかったということですね。

子供に何かやらせるには、それが楽しいと思わせなければやろうと思いもしないし、続かない。だから、楽しくすることを優先した、ということを主張していたように記憶しています。

そして、浅田真央という巨大な才能の興味をフィギュアスケートにむけることに成功したワケです。しかし、「楽しい」を優先しすぎたのか、浅田真央のジャンプは、採点の厳格化というある意味当然のことに対応しきれなかった。

ルッツ・フリップのエッジの向き、トウループジャンプも含めたトゥのつきかた、ループ・サルコウの飛び上がり方、着氷時のフリーレッグはどうあるべきか、アクセル着氷時のエッジ……。

素人にぽやっとしたうぶ毛が生えた程度の私でもぱっと思いつくだけで、気をつけなければならないことがこんなにある。

さらにGOEの加点を狙うとなると、この基本技術プラス、シングルジャンプ前にステップもしくは振り付け動作が必要とされたり、思いがけない独創的な入りからジャンプしたりしないとならない。

そうじゃないと世界で勝てない。だからこそ、最初から、技術については正しいモノを身につけさせるように徹底する必要がある。

こういっては語弊があるかもしれませんが、山田満知子は浅田真央の興味をフィギュアに向けることに成功はしたけれど、フィギュア選手としての土台を育成することには失敗したと思います。

あれほどの才能が結局、オリンピック金メダルというスポーツ界最高の栄誉を得ることができなかったのは、最初におそわった技術が如何にお粗末なものだったかを如実に現しているのではないでしょうか。

浅田真央側も変化についていこうと努力はしたんでしょう。引退直前の彼女は、特にルッツのエッジについて、かなりこだわって正しく跳ぼうとしているように見えました。

しかし、いつも必ず大丈夫というところまでは至らなかった。そして、エッジを気にする余り、思い切りがなくなり、回転不足やパンクを引き起こすという悪循環にハマっていったように見えました。

結局、おしまれつつ辞めるというよりは、見てる側もいたたまれない気持ちになりながらやめるというなんとも痛々しい引退になってしまいました。(念のために記しますが、彼女の日本でのフィギュアスケートというスポーツを浸透させた功績はとてつもなく大きいと思います。彼女は昔も今も、さらに今後もまさしく日本のフィギュアスケートのアイコンです)

そして今、浅田真央の存在こそがトリガーとなって、世界の戦場にいる青年が宇野昌磨です。

なんの因果か、宇野昌磨も浅田真央と同じく、山田満知子コーチの元で子供時代を過ごすことになりました。

彼を初めて見たのは、彼が13歳の時の全日本だったと思います。ゆづの次はこの子だな、と強く思ったことを覚えています。

しかし、宇野昌磨のジャンプ技術は浅田真央のそれとほぼ同等、まだ、真央のほうがマシといっても差し支えないくらい酷いです。

ルッツの跳び方は浅田真央とそっくり同じといってもいいくらい、飛び上がる瞬間のエッジは常にフラットもしくはインエッジ。

ルッツ・フリップ・トウループ全てのジャンプでトウではなく、ブレードの3分の2をついて跳んでいます。ループ・サルコウ・アクセルに至ってはどれがなんなのかハッキリしないほど曖昧な飛び方です。

通常はアクセルのみが前をむいて飛び上がるジャンプのはずが、宇野昌磨のジャンプはどのジャンプも常に前向きに飛び上がっているから、エッジジャンプはどれもみんな同じように見えます。

これは、私の目にそう見えるというだけではなく、海外のファン、海外の解説者の方からも上がっている意見です。検証動画もたくさんあります。中でも2017GPFのFSのサルコウは酷かった…。アレをサルコウといったら、サルコウさんが泣きますよ…。

しかし何故か宇野昌磨のジャンプは点数がでます。通常、後ろ向きに跳ぶハズのジャンプで前向きにとんでいれば回転不足になるはずなのに、常に回転不足をとられない。

どこかの検証動画では、宇野のジャンプは実質3.25回転しかしてないというものまでありました。それでも加点がついている、と。

どうしてそんなことになっているのか、私にはわかりませんし、考えたくもありません。
しかし、未来永劫ずっとこのまま宇野昌磨に都合のいい状態が続くとも思えないのです。

実際、海外の解説者が、実名で宇野のジャンプについて指摘することが多くなってきているように思いますし、先日は現役選手のデニス・テンが、名指しこそないものの、フルッツやフルブレードについてもっときちんと採点に反映すべきだという趣旨の発言をネット上で行いました。

その際にデニス・テンが主張していたのは、AIの導入です。

浅田真央の未来が「採点の厳格化」で変わってしまったように、宇野昌磨の未来も「AIの導入」で変わってしまうかもしれないのです。

ジャンプとスピンのみに限定するなら、選手の靴の先端に超小型センサーを取り付けて、回転度数を計測すればわかりそうなので、本当にすぐできるようになるかもしれません。

選手につけずとも、アジア大会の時のように360度どの角度からも観戦してるように見られるカメラをとりつけて計ることも可能かと思います。

私が羽生結弦を応援する理由はいくつもありますが、中でもコレ!というのが、彼のフィギュアスケートに対する姿勢です。彼はオリンピックチャンピオンであり、現世界王者であり、SP・FS・トータルスコア、全ての世界記録保持者です。

それでもなお、前に進もうとする。まだ不足があると己を磨き続ける。どこまでも貪欲に高みをめざし続ける。彼の中にある究極のフィギュアスケートに向かって歩みを止めない。

翻って宇野昌磨はというと、数々のインタービューをみるにつけ、彼は現在の自分の技術にいささかの疑問も感じていないように見受けられます。失敗しても今回はたまたま失敗しちゃった~でもできるから大丈夫~というスタンス。自分の技術の甘さに気がついてないのか、見ない振りをしているのかはわかりませんが……・

私は宇野昌磨に浅田真央の二の舞になってほしくないんです。
あれだけの才能、とてつもなく大きな才能です。外的要因の変化によって揺らいだあげくに残念なことになるなんて、損失も甚だしい!

どんな変化もものともしない、確固たる「正しい技術」を早急に身につけて欲しい。
いちスケートファンとして、それを手に入れた宇野昌磨の滑りを見てみたいんです。

どれほどのものになるか……。羽生ファンとしてはおそろしく、スケート好きとしてはとてもわくわくします。

しかし今のままでは、宇野昌磨は、おかしな技術なのに何故か点は出るインチキスケーターであり点数泥棒です。

だからね。

さっさと目を覚ませ昌磨!!

…って。
もし、本当にAI導入の話がでてきたら昌磨の周囲の人達が断固阻止にうごくのですかね。
ファンは公平で正当なジャッジングによる熱いフィギュアスケートが見たいだけなのに……。