安心と、エネルギーの怒濤の潮流を感じさせられた全日本欠場の報
ほっとしました……。とりあえず無茶回避。ですが、数々の無茶歴史を持つゆづ君が欠場を選んだことで、怪我の程度がかなり重いことがわかります。
全日本最終日に、万が一ゆづ君が五輪代表に選ばれない、ということが起こったら、それは回復が五輪に間に合わないほど酷いということをしめしています。
しかし、NHKが五輪代表は「確実」と伝えているので、実質、発表されてないだけで内定と同じものがでていると見ていいと思います。(※本人に知らせているかどうかは別問題。あくまでもスケ連内部でという意味)
ちなみに「確実」の意味は
『たしかで、まちがいのないこと。また、そのさま。』
NHKは異常なまでに言葉に神経をつかう局なので、「確実」の意味に当てはまらないことを「確実」とは伝えません。だから安心していいと思いますよ。(NHK側でなんらかの『裏』がとれているのでしょう、ということ)
とりあえずいちファンとしては、全日本にでようがでなかろうが五輪の代表には選ばざるをえないのに、無理矢理出させるようなことがなくてよかったな、と。ただただ怪我を悪化させるだけにならなくて本当によかったです。
表面的に彼を見ていると、どんどん強くなってオリンピック金メダルとったあともバンバン世界記録更新しまくって世界王者にもなってる全てが順調にきてる人みたいみえますが、けっしてそうではありませんでした。ゆづ君のスケート人生はかなりの波瀾っぷり。
まずシニアデビューしたと思ったら大震災にあい、自身も避難所暮らしを経験したり、ホームリンクが被災してしまい、各地のアイスショーを転々とするなか空き時間で練習したり。
(今でもゆづ君はショーの合同練習で納得いかないところがあると、一人で居残り練習して、肝心なショーの時にヘロヘロなときもあるそうで…;加減というものをしらない;)
ソチ前年の世界選手権では、直前にインフルエンザにかかった上両足に負傷を抱えたまま出場し、KIAIと根性でソチ3枠をもぎ取りました。
2014-2015シーズンの彼は、覚えている人がたくさんいると思います。GPシリーズ中国杯での衝突。絆創膏の下から流れてくる血が汗と交ざり合って血染めの衣装に吸い込まれていくのをたくさんの人が目撃しています。
衝突直後、衝撃で暫く立ち上がることすらできなかったのに、彼は試合を強行。何度も転倒しながらも最後まで滑りきった彼に泣きながら拍手している人がたくさんいました。
その後も、全日本で優勝した直後に12月末に尿膜管遺残症での手術で腹部を4㎝切ったりしていますが、3月の世界選手権には出場。銀メダルとってます。
2015-2016シーズンは、SEIMEIという鉄板プロ誕生の年。みんなが知ってる初の300点超えでしたが、この年の彼はリスフラン靱帯損傷という怪我とつきあいながらの参戦でした。痛みのある中での世界選手権はそれでもなお2位。
このように、ゆづ君のスケート人生は怪我や事故、自分ではどうすることもできない出来事にあいながらも懸命に築いてきたものです。振り返ってみるとあのときはやばかった……ということばかり。まるで素手での崖上りのよう。
全日本は二年連続欠場となり、彼自身のみならず貴重な日本での生ゆづ観戦の機会がなくなって、全日本のチケとれて歓喜していた方々もさぞ無念とは思いますが。
考えてみてください。
なんかこう……もう流れが出来ちゃってる気がしませんか?
これまでの数々の試練は、この五輪を乗り越えるために仕組まれていたとさえ思えるのです。
怪我は肉体的にも精神的にも痛いけれど、おかげで全てのエネルギーを五輪に振り向けられます。
怪我があってもその中でどのように試合に向けていくかを何度も経験し、その中で工夫してやってきていますから、「あのときも出来た。大丈夫」が、ゆづ君の中にたくさん積み立てられています。
他の大会やそれに追随する取材やエライ人とのつきあいなどに振り回されることなく、一点集中して五輪に向かえます。あのゆづ君の膨大すぎるエネルギーが全て五輪にまっすぐ向けられるんですよ……。
さらにそこに、世界中にちらばるゆづファンの彼を応援するエネルギーも全て五輪に向けられます。
ゆづロス期間が長くなればなるほど、火山の底のマグマの如く熱せられた世界中のファンの、ただただフィギュアスケートという競技の到達点、至高たり得るものを見たいという思いが、ひとたび彼が現れればどかんとあふれ出すワケです。
どれほどのエネルギーの潮流となるのか……私は怖いです。恐怖ではなく、畏怖。
それはまさしく『生く焔を爆ぜ開闢く』瞬間のように思います。
人類に与えられる最高の瞬間が近づいてきている。
そんな気がした、全日本欠場のニュースなのでした。